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今回おすすめするのは、小説『私を知らないで』 白河 三兎(しらかわ みと) 集英社文庫 意味深なタイトルと、悲しそうな表情の女の子がヒマワリを抱えている表紙に惹かれて

本日もたくさんの古書、古本を買取させていただき誠にありがとうございます。
古本出張買取屋スタッフの吉田です。
 
今回おすすめするのは、白河三兎(しらかわ みと)の小説『私を知らないで』。
意味深なタイトルと、悲しそうな表情の女の子がヒマワリを抱えている
表紙に惹かれて手に取りました。
シリーズ物以外では、ここ数年で1番買ってよかったと思えた作品です。
 
 
中学2年生の「僕」黒田慎平が、転校先で同じクラスになった美少女、新藤ひかり。
彼女は「キヨコ」と呼ばれてクラス中から無視されていた。
 
親に捨てられたひかりは、おばあさんと2人暮らし。
学校にもっていくお弁当はいつも塩おにぎりのみ。
家には電話も引いていなくて、携帯も持っていない。
洗濯はコインランドリーで。
それなのに、ひかりは休日ブランド物のバックをもって、
ものすごいおしゃれをして渋谷に行っているらしい。
おばあさんも苦しい生活のせいか気難しくなり、近所との交流もなくなっているので、
ひかりがいかがわしい事をしてお金を稼いでいるのではないかと悪い噂がたっている。
彼女の事が気になって、休みの日に後をつけた慎平はひかりの秘密を知ってしまう。
 
 
正直なところ、途中までは読んでいて「ありがちだなー」と思っていました。
「主人公が女の子にとってのヒーローみたいな存在になって、
主人公と女の子にいくつかビックリするような過去があったりして、
結末もよくある感じなんだろうな~、買ったの失敗だったかな~?」と。
 
読み終えて猛省。
ボーイ・ミーツ・ガール系にありがちな青春小説だと思ってすみませんでした・・・!!
 
話のテーマが重いので、共感したくてもできない部分が多かったのですが、
貧乏な家庭で育ったひかりの「長く使える良い物を買う」という考え方が素敵だと思いました。
『安くて質の良いものもある。でもそれを大事にしようとは思わない。
「どうせ安物だから」「また買えばいい」と消耗品扱いにする。』
『消耗品を買うことはお金を無駄に捨てること。それなら高くて上質なものを買って大事にしよう。』
本当にその通りだな、と。
安い値段で色々手に入るから、あれもこれもと買ってしまう。
いつでも買えるからと、物を大事にする気持ちが薄れている。
自分の生活を振り返って、どれだけ無駄な買い物をしているんだろうと思わせられた、
胸に刺さる言葉でした。
 
この『私を知らないで』は、少年少女の甘酸っぱい恋愛ものとはちょっと違います。
でもそういうのが好きな人にもオススメしたい作品です。
自分で出来る事が限られている子供のままならなさ、
大人になっても、どうにもならない事はたくさんあるという現実の残酷さを
嫌というほど見せつけられます。
読むのが辛すぎて、何度もページをめくる手が止まりました。
それでも読んでよかったと思えた小説です。
 
最後まで読んでから序章を読み返すと、そこに込められた意味とあまりの切なさに
また涙してしまいます。
中学生の話ですが、大人が読んでも考えさせられる事が多く、
色々な世代の方に読んでほしい作品です。
名古屋古書籍商業協同組合

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